認知機能障害

統合失調症におけるワーキングメモリ

ワーキングメモリーには、「この思考は誰かが私に言ったものか、それとも私自身が考えたものか」といった頭の中に存在する情報の出展に関するものも含まれる。

ということで、ワーキングメモリーの障害は、統合失調症に大きな問題を引き起こす認知機能障害の1つとされています。実行機能とも関係していると考えられています。

数唱は、健常者と比べてスパンが平均して1項目少なくなります。また、逆唱や語音整列などのより複雑な「ワーキング」要素が入ったスパン課題では、より重い障害が示されることが多いのです。

外部由来情報と自己生産情報の混乱は、統合失調症における幻覚と妄想の発言の理論のいくつかでは非常に重要なものである(Keefe, 2000)。自己の経験のモニタリング(すなわち自己認識過程)は、健常な認知機能において非常に重要である。これは、外部の出来事と内部の経験を区別し、その基本的なレベルでは位置や動作、身体の向きといった現在の身体についての要素のモニターを助ける。

聞いた情報と、頭に浮かんだ情報の区別がうまくできない、モニタリングできないということが、幻聴の原因のひとつと言えるのではないかとのことでした。

「うそをつくのが苦手」とか「まったく話題にしたことのないはなしを、あたかも前に話したかのように言及する」といった、統合失調症の患者さんによくあることも、同じ理由から説明できるのでしょう。
統合失調症の認知機能ハンドブック―生活機能の改善のために

双極性障害の認知機能障害

双極性障害の患者さんにときどき見られる認知機能障害や人格水準の低下について。

私も統合失調症と双極性障害は「同じような病理が重なっている可能性がある」と感じています。それを強く意識したのは、双極性障害の患者さんが病相を繰り返し、生活機能の低下を来したケースを診てからです。かつて「気分障害は機能低下を起こさない」とされてきましたが現実はそうでなく、統合失調症の重症例と同じ経過をたどることがある。産業医としても、双極性障害の方が病相をくり返すことで機能低下を来し、50代以降に中途退職してしまうケースにはよく遭遇します。もちろんそうではない患者さんもたくさんいますが、こういった経験からやはり両疾患に親和性はあるのかと考えるようになりました。統合失調症と双極性障害、その共通点と差異を探る

少し前に、こんな話を医局の先生とした。

近年,うつ病や双極性障害などの気分障害における認知機能障害が注目されている。認知機能障害は患者の日常生活や社会機能に影響を及ぼし,症状寛解後にも認知機能障害が残存する場合は再燃・再発のリスクも高くなることが懸念される。(…)統合失調症では認知機能の領域(ドメイン)のうち「精神運動速度」,「言語性記憶」,「注意」,「言語流暢性」,「視覚構成記憶」,「実行機能」が健常者と比較して低下しています。双極性障害においても,統合失調症よりも軽度ですが,同様の認知機能領域の障害が報告されています。気分障害における認知機能障害

統合失調症認知機能簡易評価尺度(BACS)を使った評価でも、双極性障害にも統合失調症と共通した認知機能の低下が見られたとのこと。

COGNISTATという認知機能検査を使って、気分障害の人たちの認知機能を調べた研究もあった。

気分障害の神経心理学的特徴 -日本版COGNISTATによる認知機能評価から-[pdf]

健常群と比較して、気分障害群のCOGNISTAT の平均得点は有意に低く、全般的に認知機能が低下している可能性がある。

下位検査項目では「注意」、「記憶」、「類似」が健常群より低かった。注意、記憶機能や、類似課題に反映される抽象的思考・合理的思考・問題解決能力などに低下がみられることが示唆された。