自閉症スペクトラム

絵画配列、動作性IQと自閉症スペクトラム指数

自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder;ASD)の患者30人を対象に、Wechsler式知能検査(WAIS-Ⅲ)と自閉症スペクトラム指数(AQ)を実施し、その関連を検討した研究。

ASD患者のWAIS-Ⅲでは言語に関する認知機能が他の認知機能に比べて高かった。さらにWAIS-Ⅲの動作性IQや絵画配列とAQの注意の切り替えやコミュニケーションの間に正の相関がみられた。すなわち予想されるのとは逆に,動作性IQや絵画配列の能力が高いほど主観的には困難を強く自覚していることが示唆された。

成人高機能自閉症スペクトラム障害におけるWechsler式知能検査と自閉症スペクトラム指数との関連, 精神医学

生育史や現在の困難、WAIS-Ⅲなどの心理検査にはかなりはっきりASDの特徴が表れているのに、AQなどの自己申告の質問紙ではまったくそうした特徴や困難を自覚していない人たちも確かに多い。

いわゆる「積極奇異型」と呼ばれるような人のなかには、「自分は社交的でコミュニケーションが得意だ」と体験している場合もあるので、周囲の受け取り方とズレが大きいのだろう。

 

 

自閉症スペクトラム障害におけるスクリーニングと診断

自閉症スペクトラム障害(ASD)のスクリーニングと診断アセスメントについてのメモとリンク。

1次スクリーニング

たとえば検診などにおいて、多人数でも実施可能なチェックリストなどが中心。

・M-CHAT(乳幼児期自閉症チェックリスト修正版)

16か月~30か月の用事を対象に、視線追従や叙述の指さしなどの共同注意行動を中心とした23項目から構成されている。

「何かに興味を持った時、指をさして伝えようとしますか?」
「あなたに見てほしいモノがある時、それを見せに持ってきますか?」
「あなたが見ているモノを、お子さんも一緒に見ますか?」

など。

[PDF]自閉症スペクトラム障害(ASD)の早期診断への M-CHAT の活用 

[PDF]日本語版 M-CHAT – 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

・SCDCチェックリスト(対人コミュニケーション障害チェックリスト)

児童・生徒を対象とした、他者の感情の理解、自身の感情表現や対人行動に関する12項目。

・児童精神科医以外の医療機関からの紹介

・周囲や本人の気づき

2次スクリーニング

・AQ(自閉症スペクトラム指数)

[PDF](AQ)日本語版について

自閉症スペクトラム指数 (AQ) 日本語版の標準化 高機能臨床群と健常成人による検討

 自閉症スペクトラム指数とワーキングメモリ容量の関係:定型発達の成人における自閉性障害傾向

AQ高群では低群よりも視空間ワーキングメモリ容量が小さかった.全参加者による相関係数でも,AQと視空間ワーキングメモリ容量の間には負の相関が認められた.しかし,音韻,実行系ワーキングメモリ容量とAQの間には関係が見られなかった.これらの結果は,自閉性障害者で見られる認知特性が,定型発達の成人の自閉性障害傾向でも同様に関わっていることを示唆している.

なるほど。

“社会的失言 (faux pas)” 検出課題と 自閉症スペクトラム指数の臨床的適用に関する考察[pdf]

〈ミチル君はトシヒコ君の誕生日プレゼントにおもちゃの飛行機をあげました。数ヶ月後、二人は一緒にその飛行機で遊んでいました。そのとき、ミチル君は飛行機を落としてしまい、飛行機は壊れてしまいました。トシヒコ君は「気にしないで、これ好きじゃなかったんだ。誰かが僕の誕生日プレゼントにくれたの」と言いました。〉
質問:〈さて、今のお話で、誰か何か言ってはいけないことを言いましたか〉

政治家向けの「社会的失言検出課題」が必要だな。

・AQ児童用

[PDF]児童用AQ (日本語版 )の作成と標準化について

7歳~15歳を対象とした他者評定式、50項目の尺度で、カットオフ値は20点。

・PARS

広汎性発達障害日本自閉症協会評定尺度(Pervasive Developmental Disorders Autism Society Japan Rating Scale)。幼児から成人までを対象に、親や養育者への面接をもとに評定する。

評定項目は、1)対人、2)コミュニケーション、3)こだわり、4)常同行動、5)困難性、 6)過敏性 の PDD に特徴的な 6 領域 57 項目で構成されます。なお、 5)の「困難性」 の項目は、PDD に特有の適応困難特性であり、不器用さや PDD に見られやすい併 発症などを含んでいます。「PARSについて

現在は、 改訂されてPARS-TRになっているよう。詳しくは、スペクトラム社のサイトを。

・SCQ

SCQ(Social Communication Questionnaire)は、ASDの可能性がある対象者の保護者(養育者)が回答する、コミュニケーションと対人機能を評価するためのスクリーニング尺度。「誕生から現在まで」と「現在」それぞれ40項目ずつ。

・CARS

3歳~12歳対象の小児自閉症評定尺度。「新装版」に改訂されているよう。CARS2には、行動観察も含まれる。

 

どのようなスクリーニング検査においても、偽陰性の可能性はある。カットオフ値を下回っていても、ASDの可能性が完全に否定されるわけではない。

ASDの診断・評価用アセスメント・ツール

ADI-R日本語版

ADI-R(Autism Diagnostic Interview-Revised)は、幼児から成人までを対象に、親への半構造化面接で実施される(90~150分程度)。

ADI-R (自閉症診断面接 改訂版)による検証と解釈

ADOS-2

ADOS-2:自閉症スペクトラム評価のための半構造化観察検査。しかし定価55万円って。

 

【参考文献】

黒田美保「発達障害の特性把握のためのアセスメント」『臨床心理学』第13巻第4号、2013年

[PDF]発達障害児者支援と アセスメントに関する ガイドライン – アスペ・エルデの会