『ライフストーリー・レビュー入門:過去に光を当てる、ナラティヴ・アプローチの新しい方法』

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少し前に、ニューヨークで流行っているらしい「The Moth StorySLAMs (ザ・モス ストーリースラムス)」というイベントについての記事を読みました(HEAPS“一般人版”のTED?情熱大陸? フツーの人の“赤裸々体験談”が「有料トークイベント」になるワケ)。

語り手がステージに上がり、お題にそったストーリーを5分間で話すというイベントで、「他の人は話を遮らない」「自分の経験に基づいた実話を話す」といったことがルールだといいます。

一般人向けのTEDとか情熱大陸と記事タイトルには書かれていますが、「すべらない話」っぽいような気もします。

とはいえ、「トーク力」を競う場ではないのだそうです。

あくまでも「あなたの口から、あなた自身の話が聞きたいんですよ」と市井の人々のストーリーに価値を見出し、それを共有する場

とのこと。

 

先日読んだ、『ライフストーリー・レビュー入門』という本も、手法は少し違いますが、同じように個人の語る物語に焦点が当てられています。

 

ライフストーリー・レビュー入門
ライフストーリー・レビュー入門

ライフストーリー・レビューってなんでしょう。この本では次のように定義されています。

ライフストーリー・レビューとは、これまであまり語ってこなかった過去の経験について、他者の協力を得ながら光を当て、言語化を行い、その経験の意味を考えること。

「今ここ」に焦点を当てる傾向があるエンカウンター・グループとは、「過去の経験について」光を当てるというところが少し違うようです(もちろん、エンカウンター・グループで過去のことが語られないというわけではないですけれども)。

ライフストーリー・レビューはグループだけでなく、1対1でも行なわれ、それぞれ良さがあるとのことです。

ライフストーリー・レビューの手順

「ライフストーリー・レビュー・マニュアル」に従って、簡単に手順を紹介してみます。

①全体の流れ

パート1:ライフストーリーを語る(40分程度)

パート2:ディスカッション(20分程度)

②聴き手の役割

  • 語り手の話を否定しない
  • 相づちを入れながら、ストーリーを追う
  • 「今の気持ち」には焦点を当てない。ストーリー展開が重要
  • 筋が見えなくなったら質問をする
  • 必要に応じて自分の経験を話す

③語り手の方へ

自分のペースで話す

質問にすべて答える必要はない

④ディスカッションの方法

  • 自由に話す
  • 聴き手に浮かんだ過去のことや、変な思いつきなども

⑤一般的な注意

  • 聞いた話はここだけにとどめる
  • 気持ちが落ち着かなくなったら、カウンセラーなどに相談する

 

ライフストーリー・レビューは何を目的に行なわれるのでしょうか?

ライフストーリー・レビューの目的は、治療や成長ではありません。結果的に治療も成長も起こるかもしれませんが、それを第一の目的とは考えていません。
ライフストーリー・レビューの目的は、ある記憶についての「記述を厚くする」ことにあります。厚い記述(thick description)という表現は、文化人類学などで用いられる言葉ですが、単に何が起きたのかという事実のみでなく、その出来事の後に何が起きたのか、文化や社会との関係はどうか、その出来事が人生に与えた影響は何なのか、という「物語」や「意味づけ」といった「文脈」を伴ったものです。

また、「言葉にならない経験に、言葉をもたらすこと」が、ライフストーリー・レビューのもっとも大切な目的となるとのことです。エンカウンター・グループやカウンセリング、当事者研究との比較などを興味深く読みました。

ストーリースラムスとかライフストーリー・レビューのような、「語る」イベントをそのうちしてみたいなと思います。

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